育休を取らなかった男性はどう家庭に貢献するか
問
育児休業を取らなかった男性はどう家庭に貢献するか
結論
- 当たり前だが人それぞれ最適解は異なる。最終的には自分で考えよ。
- 「家に居る」の意味をはき違えない。家に居る人間の存在は基本邪魔であるという出発点を理解する。
- とにかく日々コミュニケーションの中から解決のヒントを得て、地雷を踏まないように細心の注意を払うしかない。
- 揉める原因を突き詰めると、ほぼ全て「情報の差」と「金」しかない
- 場合によっては、残念だが育児してる側からの発信・マネジメントも有効
背景
SNS上では、
「男性に育児は出来ない」
「男性が育休取っても役に立たない」
「っていうか家に居るだけ邪魔」
という声が後を絶ちません。これについて賛否両論出ているのも良く見ます。
本当に男性が育児に不向きなのか、という一般的な真偽について、ここでは議論しません。科学者達に任せましょう。
私達は、今、目の前の現実である「周囲の男性が育児面で役に立たない」という課題に対して、主に男性、時には女性がどう考え、対応、改善するかに注目しなければなりません。
自分と自分の周りに居る人間で子育てをしなければならないのなら、その中でどうするかを考えなければ、どうせ何も改善しないのです。もちろん、切り捨てて環境を再構築するのも1つの解決策です。
仮に、男性の育児向き不向きが科学的に証明されたとしても、ちょっと納得感が出たり、逆に不満が出たりするだけで、個人レベルの実生活には何も影響ありません。
私は1人目の時、育休を取らず、2人目の時は妻が早期に復職して1人育休を取っています。
すなわち、大人1人育休(私は取ってない)、大人2人育休、大人1人育休(私は取った)の3パターンを経験しました。
今回は、私の思う、改善の基本になり得る考え方について書きます。
もちろん参考になる箇所は人によって違うので、どれかが役に立って、1つでも多くの家庭が幸せに向かって一歩前進出来たら良いなと思います。
説明
当たり前だが人それぞれ最適解は異なる。最終的には自分で考えよ。
下記記事にもある通り、家庭環境や職場環境によって家庭の最適解は異なります。
papa-consulting.hatenablog.com
他人のやり方をそっくり真似しても大した意味はありません。残念、楽は出来ません。
人の意見や、他の家庭の状況を知ることに意味が無いわけではありませんが、情報過多の時代、情報をどう使うか、どう考えるかが重要で、そこまでやらなければ人間がやる意味が無いです。
指示に従うだけ、新たな解釈や価値を生まない人間は、残念ですが市場価値は低いです。
これが出来なければ、仕事も出来ないということです。
逆に、これが出来れば仕事にも活きるということです。
課題解決は仕事の基本です。
良い経験を出来る機会、しかも上手くいけばプライベートが充実するという、こんな直接的なメリットがあるなんて、仕事ではほぼ無いチャンスです。
一番良いのは両立ですが、どちらか一方優先するなら、仕事より優先したとしてでも、真剣に取り組む価値のある課題だと私は思います。
「家に居る」の意味をはき違えない。家に居る人間の存在は基本邪魔であるという出発点を理解する。
これは本当に誤解が多いと常々思っているので、1つのトピックとして切り出しました。
働いていない側は、家で働いている大人を邪魔だと思っています。本当です。
「邪魔だけど、料理をしてくれる」
「邪魔だけど、掃除をしてくれる」
「邪魔だけど、一時的に子どもを預けて子ども無しで買い物に1人で行ける」
となって、初めて助かるのです。
だから、後半部分の役に立つ部分が無いと、「ただ邪魔」なんです。
これが熟年離婚や役立たず男性育休の正体の1つだと思っています。
まず、「家事育児をしている人から見て、何もしない(仕事している状態)の大人は役に立たない」ことを説明します。
続いて、「家事育児をしている人から見て、何もしない(仕事している状態)の大人は居るだけでも邪魔」であることを説明します。
2色展開で記載します。
特にWithコロナ生活の中で、意図せず在宅勤務になった人も多いと思います。
すると、「子どもに何かあるかもしれないし、自分が家に居る方が少しは良いだろう」という考えを、誰しも1度は通ると思います。
確かに、子どもが具合が悪くなったりしたら、選択肢が多いので良い、という点では嘘ではないと思います。
しかし、これは働いている人の考えです。働いていない側の考えとはズレがあります。
働いていない側は、「子どもに何かあった時、もう1人家に居る方が良い」とは思っても、
同時に、「実際、何かある時って、ほぼ無い」し、「実際に何かあっても自分1人で対応する」しな、と思っています。
子どもにご飯を作る、食べさせる、オムツを替える、寝かしつける、あやす、等、
日常的に発生するタスクをやるなら、話は別です。大助かりです。
こういう「数十分~1時間くらい何かを頼みたい」ということは本当にたくさんあります。買い物に子ども無しの1人で行けるのも超助かります。
でも、「部屋で働いている大人を強制的に即呼び出して対応しなければならない程のこと」って、実際には起こりません。
たとえ、子どもが転んでケガしてしまっても、大人1人が冷静なら事足ります。
そもそも、大人1人しか家に居なくても何とかなるように、生活を設計済みのはずなんです。
だから、働いている大人が家に居ても、何の保険になっているかも良く分からない程度の安心感しかなく、
実際には呼び出しても、スキルが無ければお願い出来ることは無いし、
働いていない側が、働いている人に何か頼むこと自体にも心理ハードルがあるので、
結局、働いていない側は何も頼まないし、やらせようとも思わないので、役に立たないです。
さて、ここまでで、
「家事育児をしている人から見て、何もしない(仕事している状態)の大人は役に立たない」ことを説明しました。
ここからは、「家事育児をしている人から見て、何もしない(仕事している状態)の大人は居るだけでも邪魔」であることを説明します。
知らないかもしれませんが、家で1人で家事育児をしている人は、ある意味好きなように家を楽しんでいるのです。そうじゃなきゃ、やってられんのです。
例えば、子どもが1人で順調に遊んでいる間や、昼寝している間、自分も昼寝したり、気の向いた時間に出かけたり、好きな時間に好きなものを食べたり、シャワーを浴びてみたり、読書してみたり、録画したドラマや、サブスクで映画を見たりしているのです。
ここだけ切り取ると楽して楽しい生活に見えますが、これ以外の時間は子どもと格闘していますし、子どもが静かな時間も、献立を考えたり(1)、料理をしたり、献立を考えたり(2)、お金のやりくりを考えたり、献立を考えたり(3)しているのです。
普通にしんどいので、好きな時に息抜き出来ないとバランスが取れないのです。
そうやって心身のバランスを保つことで、正気を保っているのです。自己防衛の1種です。
さて、これが家にもう1人、働いている大人が居る場合何が起こるのでしょうか?
上記の生活に加えて「気を使う」が発生します。これが本当に痛い。
普段なら、子どもが泣いても家に誰も居なければ最速であやしたりしないのです。子どもに何故泣いているのか話を聞いてみたり、説得してみたり、料理中なら手が離せないから、ちょっと放っておいてみたりしているのです。勿論、虐待の範囲ではありません。
でも、隣の部屋に働いている大人がいると、どうでしょう。
「うるさいと思われないか」「お金を稼いでいるのに申し訳ない」「ちゃんと育児していないと思われたら癪だな」とか思います。
すると、他の事に優先して子どもをあやさなければならないという強迫観念に襲われます。結局、いつもよりも子どもの相手に時間を費やす結果となり、他の家事育児や進まず、休むことも出来ず、負荷が増えます。
この話題では「気にしなければ良くない?」という意見が必ず出ます。それは正解です。
しかし、実際に無視出来るのか?というと、やっぱり多かれ少なかれ気にはなるのです。
自分が働いていないという負い目、家事育児は自分の責任範囲というプライド、他者にうるさく言われたくないという危機回避等、人に依って理由は様々ですが、検討事項とタスクが増えるのです。
また、大人1人のご飯と、大人2名以上のご飯ではタスクとして別物です。
献立考えるのも、料理するのも、皿を準備するのも、違うんです。決してついでに2人分じゃないんです。
1人なら、疲れたからカップ麺、ジャンキーなものが食べたいからファストフード、とかやれるんです。でも2人じゃやれないんです。ちゃんとしてる人と思われたいですし、せっかくだから働いている大人には、ちゃんとした物食べてもらいたいと思ったりしています。だから疲れます。
他にも、気軽に昼寝出来ない(気がする)、掃除機等の大きな音を立ててはいけない(気がする)等、挙げればキリがないのですが、これらのチリが積もって大きなストレスとなります。
この温度差は大きいです。確実に揉めます。揉めて無ければ、我慢しているだけです。何も気にせず家で働いている大人が多すぎます。
だから、「家事育児をしている人から見て、何もしない(仕事している状態)の大人は居るだけでも邪魔」なんです。
Withコロナという背景が無かったとしても、気軽に「出社しなくていいなら在宅がいいよね」とか口走ってはいけないのです。それを口にしていい権利は、働いていて家事育児をしない大人には無いのです。家賃やローンを負担しているとしても、日中の時間は、家事育児をしている側からすれば部外者です。悔しいかもしれませんが、わきまえてください。
とにかく日々コミュニケーションの中から解決のヒントを得て、地雷を踏まないように細心の注意を払うしかない。
上記の在宅勤務ような温度差があると、家庭内で揉めます。ただ、これは人に依って重視している箇所が全く異なるし、我慢できること/できないこと、得意不得意、向き不向き等に依ってバランスの取り方、幸せの形は人それぞれです。
だから、とにかく相手を知ることしか課題予防/解決の道は無く、それは日々のコミュニケーションを通じてでしか得られないのです。
そして、地雷を踏まない、これに注力するしかないです。
パートナーとはいえ、他者は他者。価値観は違います。完全に合わせる必要は無く、むしろ少し差があるくらいの方が、上手くいくケースも多いと思います。
完全子育て、完全仕事の、古き良き時代の夫婦分業制が一番分かり易い例だと思います。お互いの役割をはっきり分け、得意不得意、社会の需要に乗っ取った理想の生活の1つだと思います。
最近は女性活躍が少しだけ進み、稼げる女性が増え始めたことや、社会の空気が変わり始めたとはいえ、別に両者が納得していてストレス少ないなら、完全分業でも全く問題ありません。バリキャリ女性&専業主夫でも良いです。これならむしろ現代風ですね。
揉める原因を突き詰めると、ほぼ全て「情報の差」と「金」しかない
さて、どうして家庭内の揉め事が起こるのでしょうか。それは基本的に「情報の差」のせいです。
まさか育児にそんなに疲れていると思っていなかった、献立を考えるのがそんなに大変だと思わなかった、家に居るだけでそんなに迷惑をかけていると思っていなかった、等、全て勘違いや重要度の読み違えです。
ただ、他者がどう思っているのかを正確に把握するのは困難です。やってみるのが早いのですが、得意不得意があるので、自分はどうとも思っていないことを、相手は辛いと思っていたりもします。
この差を埋められないと、揉める確率は上がります。やり合うのも疲れるので我慢することも増えます。
ただ、情報の差が無かったとしても、揉める場合があります。それは「金」です。
金が絡むと人間は正しい判断が出来なかったり、金が無ければ分かっていても取りたい選択肢が取れないからです。
「家事代行にいくら払えるのか」「教育費にいくら払えるのか」等は良くSNSで揉めてますね。これは家事に関する情報の差もありますが、金は人を狂わせる強力なパワーを秘めているので、金が絡むと話は途端に複雑になります。SNS上のやり取り永遠に続くと思います。
金は幸せの十分条件ではありませんが、前提として最低限必要なものです。シビアですが、受け入れるしかありません。
可能なら、必死でお金を稼ぐことで全て上手くいく可能性すらあります。金の力は侮れません。
場合によっては残念だが、育児してる側からの発信・マネジメントも必要
さて、問題解決には「情報の差」と「金」へのアプローチが必要だということを説明しました。
では、実際にはどんなアクションが必要なのでしょうか。
当たり前ですが、一瞬にして課題は解決しません。残念。
人に依っては、初めから自然と課題解決が出来る、コミュニケーションが取れます。こういう人なら既に問題はあまり起こっていない、随時対処しているはずです。
課題解決の方向に進んでいる実感が無いのなら、それはきっと進んでいません。そのまま放置して自然と解決する可能性は低いです。むしろ膨らむでしょう。
この状況を直接的に打破する最初のアクションが必要です。
パートナーとこのブログを共有して、一度話してみるとかだけでも解決方向に進み始めるかもしれませんが、それでも進まないことがほとんどでしょう。
その場合は、残念ですが、家事育児の主担当側からの積極的な発信・マネジメントが有効かなと思います。
簡単なアクションで話が進まないケースの場合、恐らく「両者の課題の重要度認識」に差があるんじゃないかと思います。情報の差の1つですね。
この場合は、課題認識の無い方しか何もしなくて進まないという状況に陥りがちです。そうなると、ある程度強制力を持ってこの人を動かさねばなりません。
どんな課題も、最初から全員が自走して解決するなんて理想的なことにはなりません。課題解決を専門と謳っているコンサルタントだって仕事でもそんなことありません。誰かが初めのレールを引いたりするのが鉄板のセオリーです。
気負わずに、少しずつ発信・マネジメントをスタートすると良いと思います。家庭内課題解決に関わる人が全員自走し軌道に乗ったら、後は余計なアクションが無くても自然と話し合い、課題解決の方向に進むようになるはずです。
何で家事育児で手一杯なのにそんなことまでしなけりゃならんのだ!という人が居ます。おっしゃること、ごもっともでございます。
しかし、大変申し訳ないのですが、貴方の課題を、他者が解決してくれるなんてこと起こり得ないのです。お金も貰えないのにやってくれる人が現れたとしたら奇跡です。
向き合うしかないのです、目の前の現実と。億劫な気持ちをぐっとこらえて小さな一歩を踏み出すことで、意外と軌道に乗るかもしれません。勿論、軌道に乗るまで貴方が耐えらえないかもしれません。その時は離婚してください。きっとその方が皆幸せです。子どもにはこの人が親として必要なんだ、と思うなら替えは利きません、腹くくって頑張りましょう。もし経済的な理由で離婚出来ないなら、自分の経済力の無さを呪ってください。
炎上覚悟、強者の理論ですが、「弱者に未来はありません」自分自身が強者に近づくしか道はないのです。
それでも無理なら、実家でも、生活保護でも何でも頼りましょう。「守られるべきは罪のない子どもと、貴方の命」です。
と言いつつ、大抵の場合、覚悟を伴った行動で打破できない状況なんて、そう多くないと思います。皆、そうやって生きています。離婚を切り出したら夫が急に心入れ替えたなんて話も稀にあります。どこかで皆が頑張っているのです。腰が重いだけです。それだけですが、それが大きいという話です。この1点のみ突破すれば未来があります。子どものためと思って頑張りましょう。