パパコンサル~私はイクメンではない~

コンサルタントが育児休業に取り組んで直面した現実と、皆に伝えたいこと。

男性は育児休業を取るべきか

男性は育児休業をどう取るべきか

結論

以下を考慮して検討することで最適解を導くべき

  • 取得の有無、最適な取得期間は人それぞれ
  • 取得する気が無くても、まず育児休業取得に関するルールを知るべき
  • 調べるべきルールは「育児給付金額」「手取り優遇」「夫婦同時取得」「給付金延長制度」
  • 判断要素1つ目は金銭面「直近のキャッシュフロー」「本人の生涯年収」「配偶者の生涯年収」
  • 判断要素2つ目は金銭面以外のメリット

説明

取得の有無、最適な取得期間は人それぞれ

世の中では男性の育児休業取得支援が流行っていますが、以下の記事にある通り、

個人によって環境は大きく異なり、取るべき選択肢も当然異なります。 

papa-consulting.hatenablog.com

 

ただ、私が思うに、「自分が取るべき選択肢を、正しく検討していない」ケースが、かなり多く見られます。

 

取得する気が無くても、まず育児休業取得に関するルールを知るべき

私は自分が育児休業を取得している話をすると、ほぼ100%「良い会社だね」「福利厚生が良いんだね」等とコメントをいただきます。

 

しかし、私は会社の制度を利用しているのではなく、全国の会社員共通の制度を利用しているだけなのです。

 

育児休業取得に関するルールを説明すると、子どもが居る方だったとしても「知らなかった」と反応されます。

つまり、「何も考えずに結論を出していた」ことを白状しているわけです。

個人的な感想ですが、育児休業取得という、人生における大きな判断を、その程度の扱いにしてしまっているとしたら、人生設計が危険だと思いますので、最低限の調査、勉強、検討をやり直した方が良いと思います。

 

ゲームに勝つにはルールを知る、いえ、熟知することが必須です。

ルールを知らないことは、この人生ゲームにおいて、圧倒的に不利です。

 

ちなみに、男性はもちろん、女性相手でも似たような反応をされます。

女性は子どもが居る場合、本人も育児休業を取得しているので、それなりにルールを知っていますが、逆に「男性が育児休業を取る」という視点で考えたことが無いので、「夫婦で同時には取れない」等の勘違いをしているケースも少なくないです。

読み手の貴方が女性なら、是非「夫は育児休業取得すべきか」という視点で読んでいただきたいです。

 

調べるべきルールは「育児給付金額」「手取り優遇」「夫婦同時取得」「給付金延長制度」

正しい詳細情報は、政府のページや他の素晴らしいブログがありますので、検索してもらえれば出てきます。

ここでは、詳細な制度説明はせず、検討に必要な情報だけを抜粋して紹介します。

 

なぜなら、この記事をきっかけに、自分の選択の大筋を考えてもらうことで、 「知るきっかけを与える」ことを目的とするからです。

ルールを知らない人は「知るきっかけが無かった」だけです。

インターネットが普及したこの時代、検索すれば大抵のことは分かりますが、「検索しよう」と思うきっかけだけは別ルートで得る必要があります。

この記事がきっかけになれば幸いです。

 

「育児給付金額」

育児休業は基本的に1年間、条件が整えば2年間まで延長可能です。

育児給付金は初めの6か月は「額面月収の66%」、7か月目~2年までは「額面月収の50%」です。

ただし、上限は「額面月収が約45万円」で到達することと、ボーナスや手当系は含まれず、残業代は含まれることに注意してください。

そして、この基準となる月収は休業開始前6か月間の実績になります。

つまり、休み始める前の半年間に残業をしまくると、その後の不労所得が増えるのでコスパが良くなります。

逆に、女性は体調面で余儀なくされる場合が多いと思いますが、休み始める前の半年間(妊娠中)に労働時間を短くすると、その後の不労所得が減ります。

 

「手取り優遇」

育児給付金を受け取る場合、なんと社会保険料等は免除されます。

手取り換算すると、実は初めの6か月は収入を8割ほど維持出来ます。

※ただし高収入で育児給付金の上限に引っかかって収入が激減する場合は別問題 

 

「夫婦同時取得」

夫婦で同時に取得することは出来ます。家に大人が2人居る状態です。

給付金が減ったり、休む期間が減ったりはしません。

大人2人が、それぞれ育児給付金を受け取る権利があり、独立しています。

配偶者が居なかったとしても、育児給付金が増えたりしませんし、居ても減らないということです。

パパママ育休プラスという細かいルールもあります。

通常、育児休業は1回の長い休みにする必要がある(細かく分けて休むことは出来ない)のですが、

2回には分けても良いよ、というルールです。

気になる方は調べるとすぐに出てきますのでお勧めします。

 

「給付金延長制度」

給付金を受け取れる期間は、通常最大1年ですが、認可保育園に入れなかった場合、最大もう1年(合計2年)まで延長出来ます。

これは皆さんの住んでいる地域の認可保育園が飽和していて、待機児童が出ていることが必要ですが、認可保育園に落ちながら、認可外保育園やベビーシッターを使ったとしても、育児給付金は支給されます。

元々の所得が多い(=給付金が多い人)は、安く預かってくれる認可外保育園やベビーシッターが見つかれば、育児給付金を使って子どもを預けることが可能です。

 

これは不思議な現象ですが、以下のような解釈を私はしています。

給付金をくれるのは政府・自治体です。

また、政府・自治体は認可保育園を運営しています。

政府・自治体の育児家庭へのサポートは「認可保育園で安く子どもを預かって親に働いてもらう」が基本です。

ただし、生まれた直後から預かるのではなく、最大1年は預けるまでに自宅保育が必要なケースが多いので、その間は不労所得を渡したり、保険料を免除して金銭的にサポートしてくれます。

そのため「認可保育園に申し込んだけど落ちた」場合、この親は非常に可哀想な状況なので、金銭のサポートを延長してくれるということです。

認可外保育園は、一部、自治体の補助金対象となっていたりしますが、自治体としては通っているカウントにならない=自宅保育しているのと同じ扱いなんですね。

 

判断要素の1つ目は金銭面「直近のキャッシュフロー」「本人の生涯年収」「配偶者の生涯年収」

ルールを把握したら、まず金銭面を考えます。

何故なら、金銭面で破綻する場合はそもそも生活が破綻する=育休が取れないからです。

ここでは、「育休取得した」vs「育休取得しない」で、金銭面のみ比較します。

子育てがしたい!みたいな気持ちの話は後でします。

 

「直近のキャッシュフロー

まず、貯金の無い人。これは要注意です。

子どもが産まれる際、出産費用の立替、引越し等の単発の出費が一気に重なります。

更に、女性は体調が悪くなってしまえば働けない等の収入減も起こります。

育児給付金は2カ月に1度、2か月分がまとめて振り込まれますが、単発の出費+その後の期間の生活で貯金が尽きてしまう場合はヤバいです。

申し訳ないですが、そうなるとしたらライフプランを良くない可能性があるので、FPにでも相談しましょう。

 

「本人の生涯年収」

育児休業取得による金銭面の問題は、実は休職期間の収入減ではありません。

実は、日本は世界でも本当にトップレベルの育児休業給付金制度が整っています。

日本の育休問題は「休職期間に、お金はめっちゃもらえるのに全然休まない」ことです。

 

取得しない理由として収入減が良く挙げられますが、取得期間が短ければ収入は減らないし、そもそも、手取り換算なら収入を維持できる、しかも不労所得だから自分の時間が空くわけですから、休職期間中の金銭事情だけ見れば、取らない理由はありません。

 

さて、本題はここからです。

休職期間の収入減ではなく、何が問題なのか、それは生涯年収です。

これは日本における極めて深刻な問題で、根深いです。

残念ながら、多くの場合、育休を取ると出世に影響が出ます。

これは、1年休んだから、1年分出世が遅れるのではなく、出世ルートから外れる、昇進の速度が下がることを指しています。

 

もし、毎年10万円ずつ年収が増えるとしたら、1年間休むことで、昇給を1回スキップしますので、休まなかったことに比べて翌年から毎年10万円ずつ年収が減ります。

復職後30年働くとすると、10万円×30年=300万円分の生涯年収が減ることになります。

※本当は税金のかかり方が変わりますが単純モデル計算です

これはこれで大きいように見えるかもしれませんが、これなら真っ当です。

働いてないのですから、当然の収入減です。

 

しかし、実際には上記よりも更に生涯年収は減ります。

何故なら、出世ルートから外れたら、そもそも数千万単位で生涯年収に影響が出る場合もあるでしょう。

昇進の速度が落ちれば、1年しか休んでいないのに、復職後10年して、休まなければ無かったはずの、同期入社同僚と年収が100万円単位で差がついたりするかもしれません。

このようにして、生涯年収が減るのです。

これは住宅ローンを組んだり、FP相談したことがある方は分かると思いますが、収入が徐々に増えるグラフの序盤で、線の傾きが小さくなると、後半への影響が凄まじいということです。

生涯年収が減るということは、住宅購入費用、子ども使える教育費、生活レベルに等に大きな影響が出ます。

そして、転職しない以上、この条件は変わりません。

育児休業を考えるなら、本当は、働く会社から考えなければならないのです。

女性の場合、就職活動時点で検討要素に入れていることも多いかと思いますが、男性は何も考えずに入社しているケースが多いと思います。

 

「配偶者の生涯年収」

 もう1つの生涯年収があります。それは配偶者の生涯年収です。

ここでは女性が産休育休復職することを前提として、男性が育児休業を取った場合を考えます。

男性が育児休業を取るということは、女性の復職に+の影響があります。

育児スキルが両者にあれば、女性はより自由に働くことが出来る可能性が高まります。

例えば、男性が育児休業を取ることで、女性は時短勤務ではなく、フルタイムの正社員として働けるかもしれないのです。

もしかしたら、退職して専業主婦になっていたかもしれない女性が、正社員として働き続けるのかもしれないのです。

すると、男性の生涯年収は減る一方、女性の生涯年収は増えます。

これが合計でどのくらい増えるのか、減るのか、で男性が育児休業を取るかどうかを検討すべきです。

 

男性が育児休業を取らずとも、しっかり働いている役員のような女性もいるじゃないか、そう思うかもしれません。 

世の中には、家事育児を一手に引き受けつつ、死にそうになスケジュールのフルタイムで働く女性が居ます。

そう、女性活躍が今のように話題になる前から、最前線で働いていた女性達です。

はっきり言って、この人たちはプロスポーツ選手みたいなもので、才能と運に恵まれ、努力も怠らなかった、大成功した人達です。常人には真似出来ません。

女性に有能な人が多い、なんて言う人達も居ますが、当たり前です。

何故なら、有能な人材だけが生き残り、他は職場から淘汰されたからです。生存者バイアスです。

つまり、今の子育て世代が参考にする人達ではないのです。

だから我々は、新たな働き方/休み方を作り出すくらいの考え方でないといけません。

 

判断要素2つ目は金銭面以外のメリット

ここから、本人が子どもと過ごす時間を増やしたい、等のような要素、

金銭面以外のメリットを考えます。

 

これは本当に色んなものが得られます。少なくとも、実際に私はそう感じました。

もちろん、世間で言われる、休んでいるだけで役立たずな男性ではマイナスになります。

そうなるくらいなら、家族からの評価が下がるのでやめた方が良いでしょう。

 

それなりにちゃんとやれば、家事、育児スキルは当然身に付きます。

子どもへの関心は増え、より一層子どもを愛せるようになって気がします。

私は親族に恵まれたので、妻だけでなく、義父・義母からの評価が上がりました。

私の職場は最先端の空気感なので、育児休業取得に前向きな評価ですし、育児休業を取ったからこその仕事も見えてきています。

どこかで、詳しく記事にしようと思いますが、様々なことが得られる可能性があります。

 

とはいえ、なんと言っても一番のメリットは、

「とにかく子どもがカワイイ」ことに尽きます。

替えの利かない幸福を得ることが出来ます。これは一生のうちどこかで取り戻すことは出来ません。

 

 

結論

最後に結論を再掲します。

以下を考慮して検討することで最適解を導くべき

  • 取得の有無、最適な取得期間は人それぞれ
  • 取得する気が無くても、まず育児休業取得に関するルールを知るべき
  • 調べるべきルールは「育児給付金額」「手取り優遇」「夫婦同時取得」「給付金延長制度」
  • 判断要素1つ目は金銭面「直近のキャッシュフロー」「本人の生涯年収」「配偶者の生涯年収」
  • 判断要素2つ目は金銭面以外のメリット